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ブラジャーの起源

中世ヨーロッパの女性と言えば、すぐに頭に浮かぶのは、ほっそりしたウエストのドレス姿ではないでしょうか。実際、イギリスのヴィクトリア朝(1837~1901年)前後の時代の女性たちは、ボディラインをより美しく見せるために、コルセットでウエストをきつく締め付けていました。その上、ボリュームを持たせようと、スカートの下には糊付けしたペチコートを何枚も重ね着したので、下着の総重量は、なんと、最低でも3キロはくだらなかったと言います。そうした日々の苦しみから女性たちを解放したのは、1913年、メアリー・ジェイコブという女性が考案した、ブラジャーの原型ともいえる一枚の下着でした。

それは、2枚のネッカチーフと、赤ちゃんの産着の帯紐を使い、左右のバストを覆うようにしたもので、コルセットの不便さに辟易したメアリーが、それを解決するために考え出したものでした。それが、メアリーと同じようにコルセットの不便さに嘆いていた多くの女性たちから、絶大な支持を受けたことで、メアリーはその翌年特許を取得、服飾メーカーのワーナーブラザーズが販売を開始したことにより、ブラジャーは急速に普及していったのです。

ショーツの起源

ショーツのはじまりは、ブラジャーよりも少し古く、19世紀のはじめ、男性が履いていた「ドロワーズ」と呼ばれる膝丈ほどの下履きを、王室や上流階級の女性たちが履き始めたことが起源と言われています。それまで、女性たちは、スカートの下には何も着けていませんでした。ドロワーズも、スカートの裾からちらりと覗かせるファッションとして楽しんだのです。

そして、一時は廃れますが、肌を隠す下着としての働きや、冷えを防ぐ機能面が再評価されたドロワーズは、クリミア戦争(1853~1856年)の際、戦地で働く看護師たちによって改良が加えられ、今のショーツに近い形に進化しました。

このように、現在の私たちが当たり前のように身に着けている下着は、多くの女性たちの試行錯誤を経て出来上がったものなのです。下着に関しては、今の女性たちはとても恵まれていると言えそうですね。