物語の中に登場する女性たちの数だけ、下着があります。ニューヨーカーたちの恋模様を描いたアメリカの人気ドラマ「SEX AND THE CITY」では、自称恋愛至上主義の主人公・キャリーが、「コサベラ」の下着をつけています。

「コサベラ」は、色とりどりの豊富な色彩が特徴で、海外のセレブリティにも愛用者の多い、イタリアのランジェリーブランドです。シンプルかつ大胆な色使いとデザインは、キャリーの恋愛に対する気持ちをより強いものにしています。下着がキャリーの瑞々しい魅力に、さらに磨きをかけているのです。

また、美しい下着がたくさん登場するのが、映画「マルタのやさしい刺繍」です。未亡人となった82歳のおばあちゃんマルタが、ランジェリーショップを立ち上げて、地元の図柄であるバラを刺繍した下着をネット販売したことで、世界中から注文が殺到するというストーリー。繊細でため息が出るほど美しいレースや、水面のようになめらかな光沢が美しいシルクを使って作られた下着は、どれも最高に魅力的で、女心をくすぐるものばかり。シーンとしてはでてきませんが、マルタ自身も、自分で作った下着をつけていると推察されます。年齢や体型は若い頃と変わっていても、マルタは、下着によって自分を輝かせているのです。

また、200年以上の伝統を誇るレース編みの産地、ポーランドのコニャクフ地方には、「マルタのやさしい刺繍」と似た実話が存在するそうです。東南アジアなどからの安価な輸入品により、衰退していくレース編みを救ったのが、下着の製造でした。レース編みで作られた繊細かつセンシュアルな下着は、インターネットを通じて、世界中の女性から多くの反響と支持を得ました。下着によって、伝統工芸の危機を救われた村では、現在も、女性たちによって、全行程が完全にハンドメイドのランジェリー制作が続けられているそうです。

下着は、普段人目に触れない隠された部分であるからこそ、着けている女性の素顔があらわれているものです。映画やドラマを見る時に、登場人物がどんな下着をつけているかに注意してみると、その人物の秘められた裏の顔が見えてくるかもしれません。